光音響イメージング
光音響イメージングは、ナノ秒パルスのレーザーを組織に照射し、組織が瞬間的に熱膨張を起こした時に発生する超音波を利用したイメージング方法です。
光音響イメージングは光と超音波を組み合わせることで、
生体深部イメージングや、細胞や生体組織を染色することなくイメージングする非標識イメージング(ラベルフリーイメージング)を可能にします。
生体イメージングは、生体を解剖することなく生体内の状況を把握できる方法です。
通常、生体組織診断を行う際に、光のほうが超音波よりも空間分解能は高いですが、光は組織に2mm程度までしか透過しない為、深達度が問題になります。
光音響イメージングでは、行きはレーザー光を用いるので非常に小さなフォーカスが可能であり、帰りは超音波が戻ってくるので組織内での減衰が小さくなります。
そして結果として、空間分解能が通常の超音波の2倍、深達度が通常のレーザー光の2倍のイメージングが可能になります。また、酸化ヘモグロビンや還元ヘモグロビンのスペクトルの違いを応用することで、血流情報だけではなく組織の機能解析を行うこともできます。
光を使った生体の画像化には、波長が700~900 nmの近赤外光が使用されることがあります。それは近赤外光よりも波長の短い可視光(400~700 nm)はヘモグロビンなどによって強く吸収され、近赤外光よりも長い波長の赤外光(0.9~400μm)は水によって強く吸収されるため、これらの領域の光の生体内における透過性が低いからです。
これに対し、近赤外領域の光には、上述のような吸収が少ない為、生体を透過しやすいとされています。こうしたことから近赤外波長域は「生体の窓」とも呼ばれています。
今までは近赤外波長域を用い酸素結合状態と酸素非結合状態のヘモグロビンの吸収スペクトルが互いに異なることを利用して、血管及び、低酸素状態の固形がんのイメージングが行われてきました。しかし、より詳細な検出や測定を目的として、臓器や腫瘍を光音響イメージングで画像化するには金ナノ粒子などの造影剤を体内に投与する必要があります。
光音響イメージング用の造影剤は近赤外光を吸収し、熱に変換する作用(光音響効果)が強く、抗体などを利用して目的の部位に集積させることで 光音響イメージングシグナルが増強され、周りとの区別が容易になります。ICG(肝機能や肝予備能を知るための検査として広く行われている色素負荷試験)やMB(メトヘモグロビン血症治療薬)は近赤外光によって励起可能であることから光音響イメージングに使用されるようになり、人の癌診断への適用なども期待されています。
生きた動物の皮下の深いところにある臓器を数百 nm 以下の空間分解能で観察できる光音響イメージングは、in vivo 研究への利用が期待されています。
イメージングの特徴
|
ポジトロン断層法 |
MRI |
超音波 |
蛍光イメージング |
光音響イメージング |
|
---|---|---|---|---|---|---|
エネルギー源 |
陽電子 |
ラジオ波 |
超音波 |
紫外・可視・近赤外光 |
近赤外光 |
|
測定するエネルギー |
高エネルギー |
ラジオ波 |
超音波 |
紫外・可視・近赤外光 |
超音波 |
|
解像度 |
1-2mm |
20-100μm |
50-500μm |
2-10mm |
50-500μm |
|
深度 |
制限なし |
制限なし |
<5cm |
<5mm |
<5cm |
|
リアルタイム測定 |
不可 |
可 |
可 |
可 |
可 |
光音響イメージングにおすすめのレーザー
英国Litron Lasers社は、レーザーを作る行程における設計・製造(デジタル・アナログ電子機器、光学系、ソフトウェア)のほとんどを第三者に任せずに社内で行っています。高い周波数発振可能なレーザーシステム、また高パルスエネルギーレーザーシステムの製造を得意としています。
波長可変高パルスエネルギーOPOレーザー Aurora II Integra OPO
可変波長領域400nm~710nm、710~2300nm、210~410nm(UVハーモニックオプション)
波長可変コンパクトOPOレーザー AuroraII TRLi OPO
可変波長領域670nm~2600nm
AuroraII シリーズは、Litron Lasers社によってOPO部、励起光源及びOPOシステムの全てが手がけられています。
用途一例
- 生物観察
- 医療診断
- 非破壊検査
レーザー詳細仕様のご説明、お客様のご用途/ニーズにあわせてレーザーシステムのご提案を致しますので、お電話(03-3351-0717)もしくはお問合せフォームよりお気軽にお問合せください。
製品のお問い合わせ、お見積りはお気軽に
アプリケーションから探す
加工
- レーザー微細加工(マイクロマシニング)(5)
- 穴あけ加工(8)
- 非熱加工(5)
- 切断(7)
- スクライブ(9)
- ダイシング(6)
- エッチング(1)
- レーザーリフトオフ(2)
- ITOパターニング(5)
- 化学強化ガラス(ゴリラガラス)加工(1)
- ダイヤモンド加工(1)
- SiC(シリコンカーバイド)加工(2)
- アルミナセラミックス加工(4)
- 銅加工(4)
- 樹脂加工(5)
- ステンレス(SUS)加工(4)
- 液晶ポリマー(LCP)加工(1)
- PCB&FPCB加工(2)
- ソーラーパネル加工(2)
- 有機ELディスプレイ(2)
- 撥水性材料加工(1)
- 親水性材料加工(1)
- レーザーマーキング(8)
- オンザフライマーキング(1)
- 2次元バーコードマーキング(2)
- ブラックマーキング(1)
- 医療機器マーキング(2)
- UDI (機器固有識別子)コード(2)
- レーザーアブレーション(12)
- アニーリング(9)
- リソグラフィー(2)
- レーザーピーニング(8)
- レーザークリーニング(8)
- レーザーリペア(6)
- レーザー誘起前方転写法(LIFT)(1)
- 半導体検査(5)
- レーザーマイクロダイセクション(1)
理化学
検査
- 半導体検査(5)
- フローサイトメトリーと細胞選別(3)
- 光ピンセット、光マニピュレーション、光トラップ(3)
- 多光子励起顕微鏡(3)
- DNAシーケンサ(3)
- ホログラフィ(1)
- テラヘルツ時間領域分光法(3)
評価(分析)
- レーザーアブレーション(12)
- レーザーマイクロダイセクション(1)
- 光ピンセット、光マニピュレーション、光トラップ(3)
- 多光子励起顕微鏡(3)
- 光音響イメージング(3)
- 生体イメージング(4)
- 分光(13)
- ラマン分光(6)
- テラヘルツ時間領域分光法(3)
- PLD(2)
- 超音波顕微鏡法(1)
- LIBS(15)
- LIF(15)
- ASOPS(高速非同期光サンプリング法)(1)
- 光周波数コム(2)
- STED顕微鏡(4)
計測
- DNAシーケンサ(3)
- ホログラフィ(1)
- 光音響イメージング(3)
- 生体イメージング(4)
- 分光(13)
- ラマン分光(6)
- PLD(2)
- 超音波顕微鏡法(1)
- LIBS(15)
- LIF(15)
- ASOPS(高速非同期光サンプリング法)(1)
- 光周波数コム(2)
- STED顕微鏡(4)
- PIV(19)
- LDV(レーザードップラー流速計)(13)
- 蛍光イメージング(2)
- LIDAR(大気・エアロゾル計測)(15)
- 衛星レーザ測距 (SLR)(1)
- 非破壊検査(15)
- リモートセンシング(3)
- 粒子計測(パーティクルカウンティング/粒子径計測)(2)
- 燃焼研究(11)
- ブリルアン散乱(1)
- フォトルミネッセンス(4)
- ダイヤモンドNVセンター励起(3)
- 干渉計(1)
- 軍事用レーザー(7)